本棚の整理をしていたら面白い本がでてきた。今から35年前に出版された「QUICK LETTER 寄席文字」というものだ。
今はパソコンで多様なフォントが使えて、サイズ、色、変形も自由にできるのだけれど、昔はそのようなことは夢のまた夢だった。
お金があるひとは、写真植字で原稿を作ってもらうことができたけれど、個人ではそのようなことは無理だった。まだ、ワープロは個人用が買うことができなかったし、大きなフォントは使えなかった。それにその頃のワープロの文字は、まだドットがはっきりわかるものだった。
そのような時にでてきたのが、「QUICK LETTER」のシリーズで、ゴシック、極太明朝、隷書、楷書、新勘亭流、寄席文字などが揃っていた。文字数は2700文字で、サイズは初号(42pt相当)、1号(24pt相当)、3号(16pt相当)の三種類印刷されてある。
この本の使い方は、各ページにある必要な文字を切り取って、貼りあわせて原稿を作るというものだ。そのため、よく使う文字は複数印刷されている。
ペーパーセメントで貼っておけば、剥がして別の原稿に使える。実際は、コピー機でコピーしてから使った。まだ、コピー機は拡大・縮小などの機能がなかったので、大きさは自由にならなかった。
当時、エアチェックした落語のカセットの整理をするために、専用ラベルをプリントゴッコで印刷していて、この本は、その時に購入したものだ。
レトラセットに「漢レタ」というものもあったけれど、綺麗だけれど文字種が少なく、価格も高かった。